SNSにてお問い合わせがありましたので、また実際に臨床でもご質問頂くことが多いので少し持論させて頂けたらと思います。
ネットで
正座出来ない。痛いのはなぜ?
って検索しても
「それは変形性膝関節症です」
とか
「軟骨がすり減っており・・」
程度しか出てこないんですね~・・・・
確かにそのとおりだったりするのですが
かなりざっくりしているので、少し掘り下げてみましょう。
正座が痛い。という訴えの意味を探る
例えばです、ネットみたいに変形性膝関節症によってそもそも膝が曲がらない高齢者の場合
正座が出来ないんです。
っていう質問や訴えをあまりされません。
なぜか?
それは、シンプルに正座どころではないからです。
正座は出来なくて当たり前だと受容されている方が多いので
わざわざ正座のみをお話することがないのです。
むしろ、「階段が・・」とか「こたつからの立ち上がりが・・」
という膝の曲がり角度が不足していることによる日常生活の大きな動きの不便さを訴えることが多いのです。
その中で「正座」という動きだけを直接訴える方の場合は
変形性膝関節症というくくりだけでは到底説明出来ません。
もっと内部的な何か。が悪さしているわけです。
これをざっくり簡単に説明すると
膝はほぼ正常なのに正座は痛い。
ということになります。
ちなみに、正座で膝が痛い人は「膝の裏側が痛い」ということが多いです。
これをまず念頭に聞いてください。
はて。意味不明ですね。
ですよね。少し説明させてください
膝関節の曲がる可動域は?
膝関節
これは、どのくらい曲がるのか。
整形外科学会では正常の膝屈曲角度は130°と規定されています。
この角度って、意外と
ほら、正常であれば、上の絵でいくと120°って書いてあるところ近辺なので
意外と今このブログを見てくれている方の膝も、
130°なら曲がってるわね。私の膝も。正常なのかしら?
という方も多いのではないでしょうか
逆にこの130°に到達する前で痛みが出現する場合は、明らかに膝の中で器質的な病変がありそうなので、早めにみせて頂いたほうがよさそうです。
正座の角度
さて、これが大事なところです。
整形外科学会では130°が正常と言われる膝の曲げる角度ですが
正座の場合はなんと
160°曲がる必要があります。
要は、正常可動域を超えるわけです。ここにポイントがあるわけです。
あなたの正座はいつ痛みますか?
今痛みで困っている方は、正座するとどのタイミングで痛いでしょうか?
もしも、お尻が踵につく以前にすでに痛みが出ている場合は(=正座までの過程が痛い)シンプルに膝が曲がっていないのでしょう。
なので正座の前にまずは膝が曲がっていない理由を探ります
もしも、お尻が踵について、「グッ」と体重が乗ると痛い!(=正座しきると痛い)
という場合は・・膝は良く曲がっているけど最後に何かが挟まっているのかもしれません。
挟まっているのが何か?を探ります
今回のブログは、この「正座までの過程が痛い」ではなく
「正座しきると痛い」=「正座が痛い」とさせて頂きます。
これを医学用語では「深屈曲時痛」といいます。
深屈曲の疼痛原因を探る
やっとですね笑
でもここからのお話はかなり医療的な話なので、セラピスト向けになっちゃうんです(泣)出来るだけわかりやすくお話します。
まずは、膝関節が曲がらない【痛い】場合の原因を私の尊敬する先生は3つに分けています
① 膝を伸ばす組織の癒着や短縮に起因したもの
② 半月板を含めた膝後方組織のインピンジメント(挟み込み)に起因したもの
③ 関節内や筋肉の内圧上昇に伴う疼痛に起因したもの
これを少し確認しましょう
① 膝を伸ばす組織の癒着や短縮に起因したもの
要は、
皮膚や筋肉が硬くなっちゃってんじゃない?
という当たり前の話です。
ですが、治療の際はどの皮膚をどの方向へ動かすのか、この筋肉はどうやってどこに動かすのか。
これが難しいのですよ・・・
そして筋肉や皮膚が固くなったり、短縮しているとそれに引っ張られて骨も動くわけです
骨が数ミリ動くと、膝には悪影響も良影響も及ぼします。
これを確認しながら行うのです。それが専門領域です。
ちなみこれらが原因の場合は、膝の前方が痛むことが多い印象です
② 半月板を含めた膝後方組織のインピンジメント(挟み込み)に起因したもの
半月板って聞いたことありますかね
簡単に言うと、膝のクッション材です
これは中で動くんですね、まぁ膝が動くのでその受け皿として一緒に動くのですが・・
これがズレたりすると、、、挟まってしまうんですよね。
そうすると膝の後ろ側がズキ!!!っと痛いのです
でも、本当に半月板が損傷しているのが悪い場合は、正座うんぬんかんぬんではなく
普通に歩いていても挟まれる人や、軽い曲げ伸ばしも辛い人が多いです
そして、さらに大事なのが【後方組織】というところ
これが重要かつ難しい。
筋肉、神経、関節包、脂肪体というあまり聞いたこと無いものまで色々あります。
とくに【脂肪体】というのがかなりのキーマンなのです。
いわゆる脂肪 ではありません。
膝をなめらかに動かそうとしてくれる超重要な脂肪なのです
でもこの人達は非常に痛がりなのです。
そして曲げ伸ばしで色々なところに動くのです、
正座でも結構痛がることが多いのです。
半月板や後方組織が原因の場合は、膝の後方が痛むことが多い印象です
③ 関節内や筋肉の内圧上昇に伴う疼痛に起因したもの
これは少し難しい内容ですが、我々の業界では”筋肉の硬さ”を”筋攣縮(スパズム)”という表現を用いることがあります。一般的には「コリ」という表現に近いかもしれません。この「コリ」がなんらかの影響で出現した場合、その筋肉の内圧はあがるわけです。すると、内圧が上昇した筋肉が悪さすることもあるのです。
これらに対してはどのように対応するのか。
上記の状態に対しての治療や保存療法はかなり専門的な話になるので興味のある方は↓↓クリック
原因のまとめ
さぁ。少しまとめると・・
まずは、正座するとどこが痛いのか
前側? 後側(裏側)? それとも全部?
これによって治療部位(原因部位)が変わるのです。
上記の内容で改善すれば、それだけのこと。
もし、上記で改善がしない場合は、器質的な病変の可能性を疑います。
器質的な病変とは、「半月板損傷・亜脱臼・奇形」、「靱帯損傷」、「軟部組織変性」などで、我々の手ではどうしようもないので、大きい病院に行って頂くことになります。
ここまで読んでくれた「セラピスト」の方の中には
いやいや、もっとさ、脛骨の転がりとか、滑りとか。そうゆう関節包内運動もあるでしょう」
って思う人もいるかもしれませんが、、それは我々が他動的に治すところですので、ここでは省かせてくださいね♪
色々と長文になってしまいましたが、少しでも皆様にとって有益な情報になると良いな。と思います。
当サロンに起こし頂けた方がご自身で行えるセルフケアなども今後サロンメンバー限定でアップしていけたらと思います♪
コメント