一般の方でこのページを見る方はあまり多くは無いかもしれませんね
【TKA】人工関節置換術
私は以前にこの人工関節を専門に扱っている総合病院にずっと勤務していたので、かなり馴染み深く、また治療にとても悩み、そして未だに悩んでいる今日この頃であります(笑)
どんな手術なのかは他のサイトにたくさんアップされているのでここでは詳細を述べませんが
私の少ない経験を少しお話できればと思います。
【どんな人が手術するの?】
私の病院では80%以上が女性の方でした。特に70代後半~90代まで幅広くでしたね
当時の私はまだ20歳そこそこの怖いもの知らずでしたからね
よく皆さんに聞いたものです
どうして今になって手術するんですか?
ってね(笑)いや~今考えると怖いですよね
そんなのさ、
痛いからに決まってるじゃないですか
でもね、意外と帰ってくる言葉って違っていて(地域性もあるかもしれませんが)
かなり多かった答えがコチラなのです↓
旦那の介護とか世話ですごく大変だったの。でも亡くなったので私は足を治して女性として第2の人生を歩むの!!
・・
・
・
深くないですか??
年代とか、地域性とか色々あるかと思いますが、この答え本当に多かったですからね
賛否は置いといて
女性ってのは強いな~
って思いました。もちろん皆さんがそういうワケではないかとは思いますが。
たまたま私の患者さんはそういった方が多かったのが事実です。
【手術前は何をするの?】
これも病院によって違うと思いますが、私の勤務した病院では基本的に2.3日前から術前検査入院をしました。
そこで色々な血液検査やレントゲンをやって準備をするのです。
ココでリハビリのポイントが1つ!
術前の状態をしっかり確認しておくことです
術前に硬い筋肉、弱い筋肉。痛いところ、神経症状を細かく検査するんですね。
これが超大事なのです
なぜか?
それは・・
手術で治すのは関節ですよね?
でも筋肉に関しては、術前に硬かったところは術後も硬いことが多いのです。
【※例外もあります。主治医が筋肉のリリースといって癒着している筋肉をはがしたり、手術で膝がまっすぐになると筋肉の位置関係も変わるので、まちまちです。】
これ当たり前なんですけど、手術の傷によって痛くなったのか、元々そこが硬くて痛かったのか。これがわかっているだけでも術後のリハビリが変わりますよ?
それらを調べつくしたあとは、もうねひたすらに患者さんに
一緒に頑張りましょう!!私たちも最大のフォローをします
と必ずお話して
私は必ず、握手をしていました
やはり術前は誰しもが怖いのです
ましてや私みたいな若造がリハビリ担当です。もっと怖いじゃないですか
出来る限り安心してもらうように、そこが始まりです
【手術中はどんな感じなの?】
私の病院は主治医がみんな優しくて良い先生だったので、手術をよく隣で見させてもらっていました
まさにドクターXのような現場で始まります。
膝をメスでガバっっと開いて、骨を露出
ここからは本当に大工さん仕事です
電動ノコギリで膝の骨をギーーーーッン!!!っと切っていきます
そして平にしたら・・・
人工関節をトンカチで
カンカンカンカンっ!!
と打ち込んで終わり。
いや、こん簡単な作業ではないですよ?もちろん
そこには先生の巧妙な予測や視覚的情報を駆使して、できる限り術後に後遺症を残さないように
うまく切りながら神業でやり遂げていくのです。
昔聞きましたよ
ねぇ、先生。人の皮膚切るのとか怖くないっすか?どうやって上手くなるの?
って
まぁ、大方予想通りの答え
ど~だったかな~。忘れた~。まぁ、慣れだよね
笑
まぁそうでしょうね。
。。
。
ここからが大事!!
特に理学療法士さん。
★手術を見ることが出来たなら初心者でも必ず見るべきポイント
★手術を見れなくても必ず主治医に聞くポイント
それが
術中の膝関節角度はどのくらいだったか?
これが大事です。
もしこれから手術をやる方がこのブログを見ていたら
ぜひ担当になる理学療法士さんに(もちろん主治医でもOK)言っといてください
手術中に膝が何度まで曲がったか、何度まで伸びたのか。聞いてほしい
と、
まぁ、たぶんこんなこと聞かれたら、我々従事者は
こ、この人やばい・・・。何者だ?神経質なのか・・?要注意やな・・
って思われることもあるので
いや、特に意味は無いんですけど。今まで、結構曲げるの痛かったからね。私の意識が無いときってどのくらい曲がるのか興味があるんです~。
って言っとけば良いでしょう。
術中は必ず終わり際に主治医は膝の曲げ伸ばしを確認します
その際にどのくらい動いたかを聞くのです
それはなぜなのか・・?
手術後のリハビリテーションで難重するのが、絶対的に
膝の曲げ伸ばしの角度
になります。今でも悩むこの問題。
なんでこんなに曲がらないのか・・伸びないのか・・
理由はいくつかありますが、私が初心者のときに1番やらかしていたのは
怖がらせてしまったこと。
です。
ほら!!力を抜いて!!!曲げますよ~!!!!!
なんてデカイ声だされたらさ、そりゃあ力を抜きたくても怖すぎて入っちゃうでしょ。
これを医学的には防御性収縮といいますが、この収縮状態が続くと・・
なかなか筋緊張がコントロール出来なくなってくるんですよね。
患者さんは力を抜いているつもりでも、反射的に膝を止めてしまう。
悪循環です。
術前にある程度硬さは見ているので、どこまでが【本来の硬さ】なのか、どこまでが【力が入って止まっている】のか。予測は出来ますが。難しいです。
それを純粋に見れるのが。。
そう
手術中です。 手術中は意識が無いので
純粋な膝の硬さだけの角度を見ることができるのです。
その時の角度でも先生が
あまり曲がってないね~
ってなったら、ある程度のゴール目標は設定可能になります。
でも、逆に
フルMAX曲がっているし、伸びも完璧。あとはリハビリ次第
って言われると・・・?
そうですね、我々理学療法士の力量になるわけです。
実際のところは、人工関節のメーカー(種類)にもよりますし、手術中に膝の靭帯(膝を止めるバンド)を先生が少し調整することもあります。
イメージ的には・・例えばですね
よ~し!!今からガンダムを作るぞ~
となったとします。
ガンダムの足の部分をカチャカチャと組み立てると・・?
ネジを締めるところがありました。
おやおや、私の出番ですね・・
ったく。めんどくさいなぁ、ドライバー・・・・どこや~
そして足の関節部分をネジで締めるわけですが。
固く締めすぎてしまいました。
あ~。硬くて安定性抜群だけど。硬いから動かないなぁ
そして調整したら、今度は緩くなってしまいました
今度はよく動く足になったけど、不安定性がやばい!!ゆるゆるだ!!
・・
・
どうでしょうか?どちらもメリット・デメリットがありますが
このような調整を先生たちは手術中に神業で繰り広げるのです。
今となっては、このどちらのメリットもとれるように人工関節や手術方法が進化してきているようですが・・
詳細は誰か教えてください\(^o^)/
なんにせよ
手術中の状態を必ず確認すること
これが患者にとっても医療者にとっても、納得できるゴールを設定するのには超重要なことなのです。
ここまでが手術のお話。
術後のお話はまた今度♪
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